コクピット訪問記 97.11.06-08 版


札幌に出張する機会があったので、その行き帰りに飛行機を利用した。JAS 利用のパック料金が安かった(航空便が自由に選べて、ホテル2泊付きで 40800 円)。時刻表を調べたところ、新型である Boing-777 が運航されていることを 知ったので、行きは迷わずその便を予約した。帰りは研究会が長引いても良い ように、遅い時刻発の A300-600R の便を取った。今回は両機ともコクピットを 訪問する機会を与えられたので、それを以下にまとめておく。

Boing-777(JA8978) 訪問記 : (11/06/97) JAS111 羽田 13:15 ===> 新千歳 14:45

いろいろと準備をしていたら、職場を出るのが 12:00 になってしまい、浜 松町に着いたのが 12:30 頃で自動チェックイン機の取扱いは既に終っていた。 急いでモノレールに飛び乗って、羽田空港に着いたのが 12:57 であった。時 間があれば航空関係の本屋さんにも寄りたかったが、そんな時間は全くない。 急いでカウンターに向かい、チェックインが終ったのが 13:05。残念ながら禁 煙席で足元の広い席はなかった。ボディチェックを受けて、6番ゲートに向か うと既に乗客は機内に消えており、デッドヘッドの CA さんが10名程度、乗り 込もうとしているところであった。それらの CA さんを追い越してレギュラー席 の前から2列目の B 席(9B)に座った。

レギュラー席にも一席ずつ前席の背持たれに LCD ディスプレィがあり、ビ デオ番組を肘かけのスイッチでセレクトできる(5番組程)。私の興味あるもの としては、離着陸中に航空機前方の映像を流すものや、現在の飛行状況/経路 を表示するものもあるので、なかなか楽しい。ただ、残念なことに、オーディ オ番組(5番組程)を聞こうとするとビデオ番組が消されてしまうことである。 私の興味ある番組には音がないのだが、滑走路風景を見ながら演歌番組を聞く ということができない。できれば独立のスイッチにしてほしいものである。そ れと、国内線の中でもこの機種のレギュラー席は特に窮屈であるように感じた。 左横のおばちゃんの組んだ足が私のエリアにはみ出していたのが余計その印象 を強くしたのかもしれないが。なお、レギュラー席の配置は 2+5+2 の配置で あった。

レギュラーとその前のクラスの席(JAS の Boing-777 は 3クラス運用、 Super、Rainbow、Regular)とを 仕切るようにギャレーがあり、そこで新聞を片付けていた CA さんを呼び留め て、コクピット見学の依頼をした。今回は身分証明証の提示を求められたので、 渡しておいた。許可が出たことは離陸する前に教えてくれた。ありがたい。気 流は安定していたので、離陸後10分ほど上昇するとシートベルトのサインが消 え、茶菓のサービスが始まった。ただ、我々のブロックへのサービスは少し経っ てからになっていたので、ちょうどサービスが始まろうとした時に案内があっ た。コクピットに行きたいのも山々だったが、急いで空港に来たので喉が乾い ており、ジュースだけは飲みたかったので、少し待ってもらった。

機体前方には、右側にギャレー、左側にトイレがあった。その間に長めの廊 下が前方に伸びており、そのつきあたりがコクピットのドアである。CA さん がいくつか操作をしてコクピットに入れてもらった。

2メンクルー(年配の CAP と 40代の FO)で運用されており、グラスコクピッ トなので、非常に計器も少なく感じ、また、室内も広く見える。加えて室内の 騒音が低く抑えられているように感じた。センターコンソールの後方の補助座 席を引き出してそこに座らせてもらった。また、シートベルトもするように言 われたので、4点式のものの下2点で留めた。最初構造が判らなくて少し手間取っ たが。入室してしばらくして軽い揺れがあった。入室したのが 14時より前で、 下界は雲が多く出ており余り地形は見えなかった。しかし雲間から右下に山形 空港や左に津軽海峡等が見えた。

これまでいくつかコクピットを見せてもらっているので、基本的な計器が何 を示しているかは大体判るようになってきた。操縦パネルの中央下に 「Boing-777」のパネルがはめ込まれており、また、エンジン関係の計器も2組 み、スロットルレバーも2本しかないので、エンジンが2つしかない機体である ことが判断された。

今回一番の収穫は、液晶ディスプレイの奇麗さである。飛行経路の都合でディ スプレイの近くまで日光が射している時があったが、見え方には全く影響なく くっきりと見えていた。また、通常表示されている計器表示では、右辺に高度 計があるのだが、円盤が高度に合わせてゆっくりと回っているように見える。 しかし、これも液晶上に表示された表示であって、スイッチで表示液晶を切替 えることにより別の液晶にも同様の表示を行なうことができた。あのリアルさ には驚いた。

また、風向きと風速も左隅の小さな矢印で示されており、今回は左真横から の風であった。ディスプレイにはコースが線分で示されており、Heading が時 計の文字盤のようなところに青いマークで示されていた。真横からの風という ことで、今回はコースと Heading は5度ほどずれていた。自動操縦で運用され ている範囲ではコンソールの上方にある高度と Heading を指示するダイヤル (直径 10mm ほどのノブ)に指示を出すことがメインの作業のようである。指定 高度に近付くとアラート音でもそのことを知らせてくれる(ちょっとやかまし い)。

離陸時にタクシーウェイから滑走路に入るには、滑走路上に描かれた線上を トレースするように滑走路中央に位置付けるのに、今回は、一旦右に曲がった 後に左に曲がって滑走路に入っていったので、そのことを聞いたところ、少し でも滑走路を長く使いたいからとの返事が返ってきた。

また、JAS は現在 Boing-777 を 2機保有しており、近い将来、追加で2機を 予定しているらしい。操縦用の乗員は4倍ほど必要だそうで、現在 Boing-777 用には 16名ほどいるとのことであった。FO の右側に置かれた鞄には Boing-777 のシールが貼ってあるのが可愛かった(このシールは渋谷にあるパ イロットハウスでも売っている)。

スロットルレバーの横に液晶のようなもので示されたメモリがあったので尋 ねたところ、エレベータートリムだと教えてくれた。気づくと私の目の前にも 同様のメモリがあり、こちらはラダートリムだとのこと。エレベータートリム は離着陸時に機械の方が合わせるので調整する必要はないとのこと。また、ラ ダートリムも基本的には動かす必要はないが、バードストライク等で機体の形 状に左右の不均一が出たら調整することもあるとのことであった。

今回は新千歳までの通常のコースを 37000ft で飛んでいたのだが、同じ方 向に向かっている航空機が後方の低い同コースにいたらしい。このような状況 で、こちらがそのまま降下すると衝突の危険があるため、何かの方法で回避し ないといけない(本来は地上のコントローラーがこのような状況にならないよ うに制御しているのであろうが)。今回は、我々の航空機が北海道の南海上で 一時期左に迂回して回避することになった。自動操縦の Heading のダイヤル を北西にセットするとほどなくして機体が左にバンクしてコースを変えた。水 平線が音もなく傾いていき、またゆっくりと水平に戻っていく。2分もしない 頃に今度は北東に Heading を操作するとまたゆっくり右にバンクしてコース を変える。これまではコクピットに入れてもらっている間中、ほとんど水平飛 行でコースも変えることはなかったので、このような劇的なアクションは見る ことはできなかったので、この2回のバンクは非常に気持ち良かった。飛行機 に乗っているという実感を味わえた瞬間であった。

また、今回のように最終的に迂回しながら降りたため降下率を上げたかった ためか少しブレーキをかけながら降りていた。スロットルレバーの外側にエア ブレーキのレバーがあり、それを手前に引くことにより(たぶん主翼の一部が 立ち上がるのであろう)、少し振動とエアーノイズが発生して、座席が落ちて いく感覚(体が宙に浮いた感じ)を感じる。

また、今回は 37000ft から 4000ft の直前まで40分ほど(猪苗代、山形から 函館の東海上まで)コクピットに居させてもらった。4000ft にセットしたのを 見た時は、思わずこのまま着陸まで見せてくれるのかなと思ったが、残念なが ら「そろそろ着陸ですので」と言い渡されてしまった。お礼を述べてコクピッ トを後にした。

AirBus A300-600R(JAxx57) 訪問記 : (11/08/97) JAS116 新千歳 20:45 ===> 羽田 22:15

新千歳空港に着いたら一つ前の便に乗れる時刻だったので、変更を依頼した が、認められなかった(チケットにも変更不可とある)。この便は MD-90 とい う新しい機体だったので乗りたかったのだが、空いていれば可能かなと思った が甘かった。何でも最終便(21:15発)が機材の都合で遅れるとアナウンスされ ていたので、そのための乗客用にとっていたのかもしれない。

結局、搭乗したのは AirBus A300-600R であり、 以前も同じ経路のほぼ同じ時刻に乗ったこと がある。その意味で、コクピッ ト訪問を依頼するかどうか迷ったが、また新しい面も見えるかと思い依頼する ことにした。今回は 9A という足元の広い窓際の席だったので、目の前に搭乗 口があり CA さんもいたのだが、 ちょうどドアクローズの時期と重なったの で、忙しそうで頼む時期を逸した感があったが、何とか機会を見つけてお願い することができた。今回は証明証は要らなかった。今回もサービスが始まった ところで案内があり、そそくさとカップケーキとジュースを飲んで待っていた。

前回、この機種のコクピットはエアーノイズでめちゃくちゃうるさいと感じ たのだが、今日の機体はそのようなこともなく、乗員との会話は普通にできた。 それにしても今回の CAP と FO は若いと感じた(私と同じぐらい?)。

コクピットに入れてもらった段階で、31000ft、花巻の手前を飛んでいた。 少し向うには仙台の夜景も見える。しかし、左右には半月に照らし出された雲 が白く漂っているのが見え少し幻想的であった。ただ雲があるので日本海も太 平洋も見えなかったが、今の時期はカニのためのイサリ火が見えるとか。また、 月明かりがなければ星が奇麗に見えるらしい。

この時刻になると、トラフィックが少ないためか、RNAV で運航されている らしい。また、機体も「スピード優先」で設定されているらしい。今日は荷物 も乗客(満席)も多いため、31000ft が経済的な高度なのだそうだ。

見なれない計器があったので尋ねたら、一つはスラットとフラップの角度の 指示盤、もう一つはブレーキに掛かっている圧力の指示盤(ブレーキは2系統あ るらしい)であった。

MD-90 に乗り損ねたことを言うと、MD シリーズはエンジンが最後尾にある ため前ほど静かであり、寝るには最前列は最適だとか。また、風切り音もナロー ボディの場合は静かだと教えてくれた。A300-600R のコクピットでも風切り音 を聞くことができると言われたが、私には識別できなかった。

前回の A300-600R よりも操縦席が上にあるように感じたので、機体によっ て着座位置が異なるか聞いたところ、それはないとのことだった。操縦には目 の位置が敏感に影響するために、離発着時には目の位置を一定に保つ必要があ る。目の位置を合わせるための道具として、前方の風防の支柱にランプとボー ルが埋め込まれており、ランプの明かりがボールに隠れて見えなくなるように 座席位置を合わせるのだそうだ。ただ、上空では窮屈なので、座席を後ろに下 げたりする人もいるので、機体というよりは座席位置によって下がったように 見えたのだろうとのことだった。それにしても面白いインディケーターが準備 されていたので驚いた。

途中で CA が客室が寒いので温度を上げてくれるように依頼してきた。 A300-600R (というか今までの機体)では、熱交換の効率化から空調まで全てコ クピットで制御しているが、先日乗った Boing-777 では、客室で独自に調整 できるようになっているとのこと。確かに、CA がギャレー横のタッチパネル でいろいろと指示しているのを思い出した。主には呼出しのあった座席の確認 に使っているようであったが。

JAS では A300-600R を現在20〜30機(?)保有しており、今後数機の導入を予 定しているらしい。A300 用の操縦乗員は100名程度とのことであった。1日4時 間ほどの勤務で、搭乗でいえば 2経路ほどになるのだとか。今日のお二人は、 関西空港から新千歳に来て羽田に飛ぶのが今日の行程だそうだ。

太子にさしかかった辺りで降下が始まるということで、お礼を述べて客室に 戻った。20分ほどの滞在であった。コクピットの予定表では、到着は 22:07 頃と出ていた。

JAS の機体の座席配置等を知りたかったので、機内誌 ARCAS 97.11 を CA に断わっていただいてきた。


どちらのクルーも感じの良い人たちで、楽しい時間を過ごすことがで、楽し かった。どうもありがとうございました。ペコ。


Atsuhiro Hayashi (hayashi@rd.dnc.ac.jp)
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[Memo エリア]

11/06/97
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1) Boing-777 訪問記(JA8978)
    証明証
    許可が出てからが長かった
    機体右側にギャレー、左側にトイレ。長めの廊下を経由してコクピット。
    若干の揺れ
    雲の間から地上
    山形空港
    青森の手前
    静かな室内
    真中とCP の後ろに補助席
    センターコンソールの下に「Boing-777」のプレート
    エレベータートリム、ラダートリム、
    777 シール
    コースとHeading 約5度
    風向き
    液晶の質、エンジン関係、高度、コース等
    37000 ft から 4000 ft
    ??? 猪苗代、山形から函館の東海上まで、40分ほど?    
    オートパイロットの高度設定と、設定高度に近付いた時のアラーム
    降下時の迂回 : 左、右への旋回
    Air Break : 振動と騒音、重力の体感
    PAPI の色 : 白白赤赤
    狭い座席、個人毎のLCD、画像と音声の同時サービスなし
    2+4(or 5)+2 の配置
    Runway への入り方
    B7 は現在2機、option で2機を予定
    操縦用の乗員は4倍の8名程度/1機なので16名ほどいるとのこと


11/08/97
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1) AirBus A300-600R 訪問記(JAxx57)
    MD-90 には乗せてもらえず
    最終便(21:15 発)が機材の到着遅れの都合で出発が遅れるとアナウンスしていた
    依頼のタイミングをミスりがち
    今回は身分証明書は要らなかった
    今回は予想より静かなコクピット内
    花巻から仙台を通って太子まで、20分ほど
    RNAV を使用
    スピード優先の設定
    31000ft
    満席かつ荷物が多いらしい
    日本海も太平洋側もイサリ日が見えるらしい
    半月に照らし出された雲
    新月時には星がきれいらしい
    MD シリーズはエンジンが最後尾にあるので前ほど静か
    風切り音もナローボディの場合は静か
    ブレーキ系統は2系統
    スラットとフラップの指示盤
    目の位置を合わせる装置
    CAP も FO も若い
    空調はコクピットで、熱交換の効率上
    B-777 は客室で独自に
    到着は22:07 頃
    機内誌 ARCAS 97.11 をもらってきた
    A3R は現在20〜30機(?)、option で数機を予定
    操縦用の乗員は100名程度とのこと


最終修正日 : 97年11月25日

Atsuhiro Hayashi (hayashi@rd.dnc.ac.jp)
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