講義や学会で発表(プレゼンテーション)を行う事がままあるのですが、
その際に注意している事項をまとめておきます。
プレゼンテーション時に注意したいこと
- 人の話を聞くとき(準備段階として)
- 自分が魅力的だと思う演者を見つけて何回か聞き、技を盗む。
- 人の話を聴く。批判的に聞く。
- 自分だったらと考えながら人の話を聴く。こうすることによって、
話者の主張を理解するだけでなく、話し方も考えるようになれる。
- 質問をしてやろうという態度。
- 蛇足だが、落語や演劇の鑑賞も役に立つように感じている。
- 発表の構成
- 発表内容の要素を挙げる。
- 主張を明確にする。
- 聞き手の興味を考える。
- ストーリーの構築とその熟成。
- 挙げた要素はテキストエディタ(やWord)で電子化し構成を練る(いきなりPowerPoint を使うのは避ける)。
- 品の良い or/and 収まりの良い「まくら」の模索。
- 発表資料(提示資料)の作成
- パソコンの操作は勿論、アプリケーション(PowerPoint等)の操作にも習熟する。ショートカット機能の活用。
- 提示資料に使う字体はゴシック等の太い文字を使う。明朝は細くて弱々しい。
- 提示はなるべく名詞だけとし、それぞれの関係については言葉で補う。
- 矢印を使って関係を表示する。
- 4行も 5行もある文章を掲載するのは極力避ける。
- 読み易い場所が改行位置になるように修正する。
- 色を使うのは当然だが、多用は禁物。
経験的には 2色(赤と青 or 緑)程度で十分。黄色は見難い。
- 数表を見せるときは、色分けで図表の特性が判るようにする。
図表を細部までを理解しないと主張が伝わらないようでは困る。
- 貼り付けた画像: 「シャープネス」等を指定することも検討すべき。
- 図表は勿論、文字でも、余白があるのならなるべく拡大して掲載する。
- 同じスライドを再度使いたいときは 2枚用意しておく。
個人的には、説明しない部分は少し薄いトーン(灰色等)の文字にしておくのが良いと思う。
- 1つの画面内で、細切れに項目を提示していくのは目障りだ。
最初から全部を掲示し、言葉で順に進めていくのが良いと思う。
また、質問時に提示するときも、なかなか全体が表示されずにもどかしい。
- 変な背景画(バックグラウンド)は逆効果と思われる。
枠が多くを占めているようなものでは、記述できる部分が少なくなってしまう。
また、派手派手しい背景では落ち着きがなく、聞き辛い。
- 資料(提示用も配付用も)には、ページ番号を打つこと。
- グラフの形状と使途の関係 : [参考]
統計グラフの表し方は?
: いばらき統計情報ネットワーク > 統計の基礎知識 > なぜなに統計
- 折れ線グラフ : 移動変化を観るためのもの
- 棒グラフ : 群ごとの違いを観るためのもの
- 帯グラフ : 割合の変化を観るためのもの
- 円グラフ : 割合を観るためのもの
- しかし、例外もあり、2群の比較なら折れ線グラフも有効な場合がある。
- 有効桁数の吟味。多くても少なくても無理解が露呈する。
- 資料は一昼夜放置後、再度吟味してみる。
- 配付資料の作成
- 配付資料を PowerPoint の「配付資料(4分割)」や「配付資料(6分割)」
で印刷するのはやめよう。
スライドの回りの余白が大きくて、読める図でさえ小さく印字されてしまう。
- プリンタドライバを使った縮小印刷をお奨めする(6-up 程度)。
- プリンタドライバの一つとして Adobe PDF を用いた例を以下に示す
(Microsoft PowerPoint 2010 の場合)。
- [ファイル]-[印刷]を選択する。
- [プリンター]を[Adobr PDF]に指定する。
- [フルページサイズのスライト]のオプションである
[用紙に合わせて拡大/縮小]にチェックを入れる。
- [プリンターのプロパティ]を選択して、[レイアウト]タブの
[ページ形式]で[6]を選択する(場合よっては4を指定する)。
- [印刷]ボタンを押して、適当なファイル名で保存する。
- 配付資料は白地が良い。なぜなら聴衆が余白に書き込みが出来、
また、引出線を書くことも容易だから。
- 配付資料にはページ番号を打つこと。
スライド毎でも良いし、ページ毎でも良いが、前者を奨める。
- Adobe PDF の場合、オプションを細かく指定することにより、
より大きく表示することもできる。
現在のお奨めは「Press」、「A4ノビ」、「120% 拡大」である。
また、PDF ファイルの出力時に「ページの拡大/縮小: 用紙に合わせる」を指定する。
- または KyoceraMita プリンタの場合、PowerPoint の印刷で、
「レイアウト: 6分割(境界線を付けない)」、
「用紙サイズに合わせて印刷するにチェックを付ける」、
「スライドに枠を付けて印刷するにチェックを付ける」、
「カラー」で印刷すると良い感じ。色が濃かったら、
「イメージ」の「明るさ」をちょっと大きくする(8 前後がお勧め)すると良いみたい。
- [補足]
一枚の用紙に複数のページを押し込む方法
(PDF ファイル作成編)
- 登壇時
- 割り当て時間を守る。
- 図や表を提示した場合、縦横の軸が意味しているものを丁寧に説明する。
- 落ち着いて喋る。早口は禁物。
- 視線は聴衆に。聞き手の方を向いて話す。
- うつむいて原稿を読むのは厳禁。
- 聞き手の目線を安定させるように、不用意にスライドを入れ替えたり、ポインタを動かしたりはしない。
- 遠方で見えない人のことも考える。見えないなりに説明の仕方はあるはず。
- 大きなホールではレーザーポインターはほぼ役に立たない。
- スライドの提示、交換は自分で操作する。
- 役者になりきろう。
- 話し方に抑揚を付ける。
- 小教室であればマイクは使わない方がベター。
- マイクを使う場合は、使わない場合以上に抑揚を付ける方が良い。
マイクを通すとモノトーンになってしまいがちなので。
- マイクの特性も知っておくこと。特にピンマイクは息を拾いやすい。
- マイクがきちんと機能しているかにも気を配ること。
- 動きまわるのは煩雑だが、多少のアクションや指し示す動作は必要。
- 適度な"品の良い"冗談を入れる : 関東と関西で異なるように感じている
- 液晶プロジェクタやパソコンが故障した場合でも手持ち資料や配付資料だけで説明が続けられるように。
- ディスプレイのネジは留めない。差し込むだけ。
- 講演前の休み時間に接続テストを行っておく。
- 提示マシンの壁紙は控え目なものにする。政治色、宗教色、思想色等のあるものは避ける。
- 発表直前や発表中に前後のスライドを確認するために、A4 1枚に16枚のスライドを押し込めた資料を持参しておくと便利である。書き込みをするので白黒印刷が好ましい。
- 携行品: スライドのセットされたパソコン、時計 or タブレットアプリ、プレゼンター、配付資料(予稿集)、スライド一覧出力、飲み物、(紹介物品)
- 登壇前に喉の調子を整えておく。発声練習や滑舌の練習も有効。
- 講演をお引き受けする際
- 依頼者の素姓、活動内容
- 講演の目的の詳細な説明、期待されている講演内容、面談しての打ち合わせ
- 聴衆の構成や人数の把握、会場の広さ
- 他の登壇者とその役回り、そして自分の役回り
- 講演時間、日時、場所
- その他
- プロジェクターとスクリーンの用意
- 配付物の印刷分担、分量、引渡し時期
- 会場までの交通、到着予定時刻
- パソコンを持参する場合、会場のプロジェクタのビデオケーブルのコネクタが
「ミニD-SUB 15 ピン」であることを確認しておくこと。
最近は DVI, HDMI や Mac のコネクタもあるので、合致しないと投影できない。
- [蛇足] 演台に持ち込むもの
- パソコン with 提示資料のPowerPointファイル、(ACアダプタ、バッテリー)
- ワイヤレスプレゼンター (通称: 飛び道具)
- 時計
- 提示資料の縮小版 (9/16分割、白黒印刷、進行メモ)
- 捕捉資料、質問時対応資料、(提示物品の実物)
- USBメモリー: データ入力済 (非常時用)
- お茶、(のど飴)
- (マイク): ピンマイクが好ましい
- [番外編] コーディネーターの心得
- 取り扱う話題に精通する。周辺領域についても。
- パネラーに気持ち良く発表してもらう環境作り
- 聴衆に気楽に質問してもらえる環境作り
- コーディネーターはなるべく時間を消費しない、喋らない、交通整理に徹する
- 各パネラーの発表時間をきちんと管理する
- [番外の番外編] 訪問調査をする際の心得
- 訪問目的を明確にし、早めに日程調整を打診する。
- 自分の専門分野や興味関心を伝える。
- 調査・質問事項を早めに先方に知らせて回答準備を依頼する。
- Webや出版物で把握できることは事前に最大限調べて訪問に望む。
- 訪問時間を守る。遅れるならその旨を早めに伝える。
- 面談の冒頭で訪問目的を説明する。少なくとも「xx先生に言われたので」と
いう説明は好ましくない。
参考文献
- 諏訪 邦夫 著、
発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで、
ブルーバックス、講談社、880円、ISBN4-06-257099-8。
- プレゼン道入門 : 松田卓也が説く <=== 残念ながら、現在リンク切れ
- 池上 彰、
伝える力、
PHP研究所、840円、ISBN-10: 4569690815、ISBN-13: 978-4569690810。
- ガー・レイノルズ、
シンプルプレゼン、
日経BP社、2,730円、ISBN-10: 4822230546、ISBN-13: 978-4822230548。
- ハンス・ロスリング、
地球規模の人口増加について : TED (動画)
- 講義資料
: 少人数セミナー「伝えることの真髄 〜 プレゼンテーションの向こう側 〜」
これからの(次世代の)プレゼンテーション
- 2ビームを操った提示 : 2ビーム時代のプレゼンテーション
登録日 : September, 2003 最終修正日 : June, 2017
Atsuhiro Hayashi (hayashi@artsci.kyushu-u.ac.jp)
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