この授業は基本課題「共生を考える」に基づいて構成されており、課題協学Bに属しています。教室テーマは「裏を読む」であり、次の3つの協学課題、
(1) 環境の裏 (担当:久場 隆広)
(2) 歴史の裏 (担当:マシュー・オーガスティン)
(3) 情報の裏 (担当:林 篤裕)
について授業を進めます。それぞれ以下に説明するような観点・アプローチから、「物事の裏」という共通の主題に取り組みます。
協学課題(1)では、環境問題の本質やその解決策について、「表」からは見えてこないこと、そして、「裏」からあるいは「斜め」から見えてくること、「裏ワザ」を見つけることを中心に、皆さん方と共に考え、議論してもらいます。ヒトあるいは生物を取り巻く環境、例えば、自然環境、大気・水・地圏環境、さらには、社会環境はいずれも多面的で、そして、複雑です。環境保全あるいは環境浄化の技術やシステムを適用しようとすると、そこには多くの利害関係者の存在に気づくでしょうし、最適な解や最適な方策を見つけることの困難さに気づくはずです。大学を卒業し、各分野の専門家 (プロフェッショナル) となる皆さんには専門職での倫理観 (専門職業倫理)に加えて、環境倫理も求められます。環境を「裏」から眺めてみると、何が見えてくるでしょうか? 共に、考えていきましょう。
また、協学課題(2)では、いわゆる「歴史問題」あるいは「歴史認識問題」について、新聞・テレビ・インターネットなど各種メディアによる報道や情報だけでは十分に理解しにくい歴史とその解釈をめぐる争点の本質に迫ります。その上で、歴史問題・歴史認識問題を克服することは可能なのかどうか、もし解決策があるとすればそれは一体何なのかなどについて、皆さんとともに考えながら議論してもらいます。近年の国際関係や国家イメージにも悪影響を与えている本問題は政治による歴史の濫用が原因であるといわれている以上、いまだからこそ歴史認識について考えてみる必要があるのではないでしょうか。
最後に、協学課題(3)では、実社会で日頃何気なく接している情報について、我々はどの様に付き合えば良いかをいくつかの実例を通して考えていこうと思います。新聞、テレビ、雑誌、インターネット、SNS等々の様々なニュースソースから我々は多くの情報を得ることができるようになりましたが、これらを如何に読み解いて自分の行動・判断に活用していけば良いかを皆さんと共に議論したいと思います。また、後半では情報を発信する側についても考察できればと考えています。これらの過程において、論理的な思考を行う練習や他人に自分の意見を正しく伝える技術についても簡単に紹介できればと思っています。いろいろな視点から「情報」を一緒に考えてみませんか?
【特に】 協学課題(3):情報の裏 (担当:林 篤裕)について
協学課題の中を〔情報に接する〕、〔情報を吟味する〕、〔情報を見極める〕、〔情報を発する〕、〔情報発信の実践〕、〔情報の裏〕の小課題に分け、週ごとに順に検討していくに従って考察を深めていく。我々は世間にあふれている情報とどのように接し、利用・判断して行けば良いかを実例を参考にしながら考えてもらい、今後社会に出た際の処世術の端緒としてもらおうと思っている。これらの過程では個人での調査活動やグループ学習を行い、最後には班ごとに口頭発表を実践してもらう。
具体的な活動としては、第1〜第2週ではテーマに沿った資料をニュースソースから収集してきてもらい意見交換をする。第3週では口頭発表に備えての説明資料を班ごとに作成してもらう。そして、最終週である第4週では班単位での口頭発表をしてもらうと共に、発表内容をレポートとして提出してもらう。
(2016年度シラバス) .