日本分類学会 会報 第16・17合併号, P19。 他学会だより ● COMPSTAT-92大会印象記 林 篤裕(岡山県立大学情報工学部) スイス西部の町ヌーシャテル(Neuchatel)で,COMPSTAT'92が1992年8月24日 から28日にかけて開催された.この町は,ヌーシャテル湖の湖畔沿いに細長く 伸びた静かな大学町である.COMPSTATは,その名前の由来(COMPutational STATistics)からも判るように,計算機統計学をテーマとする会議で,2年毎に ヨーロッパ各地をまわって開催されており,今回で丁度10回目である. 今回の会議では,約400人の研究者が,ヨーロッパを中心に集まってきてお り,5日間の会期中延べ46セッション,168の発表が行われた.なお,日本から は,統計数理研究所の大隅会員や馬場会員を始め,10人が参加しており,4つの 発表を行った. ここでは紙面の都合上,全部のセッション名を列挙することは諦め,予稿集 の3つに分かれたテーマを挙げておく. Volume 1 : Statistics and Modelling (578ページ,79講演) Volume 2 : More on Computation (440ページ,57講演) Volume 3 : Non Commercial Packages (62ページ,14講演) 本学会の名称でもある「分類」に関係しているものでは,Volume1の中に 「Classification and Discrimination」というセッションが設けられ,12の講 演が行なわれていた. この会議の性格上,計算機絡みの話題がほとんどで,純粋に統計理論だけの 発表は少なかった.また,日本で行われている統計関係の学会と比較すると, 実際のデータに対するアプローチを取り扱った講演が多く,ヨーロッパでは問 題解決の方策として「統計手法」が確立している事を窺わせる.全体的な雰囲 気としては,自由で活発な質疑・応答がされており,一方的な発表の場という よりは,議論の場という感じの会議であった. 次回のCOMPSTAT'94は,開催地が一巡して第1回と同じウィーンで1994年8月 22日から26日まで開催される予定である.日本の学会と違った雰囲気を持つこ の会議を体験するために多くの方が参加される事を希望する.