Date: Tue, 10 Jun 2003 22:44:44 +0900 (JST) To: xxx Subject: What is the Annual Meeting of AERA/NCME? (Re: NCME) From: Atsuhiro Hayashi xxx 先生, 林@大学入試センターです。こんばんは。 曇天が多かった 5月でしたが、気が付くと もう 6月も中旬に差しかかろうとしています。 そして今日は関東までの全域が梅雨入りしたようですね。 今春の鯉のぼりは泳ぎ足らなかったのではないでしょうか? ご無沙汰しております。その後お変りございませんか? xxx には出席できずに失礼しました。 さて、少し時間が経ってしまいましたが、ご存じの通り、 4月下旬に Chicago で開催された NCME と AERA に参加してきました。 非常に大きな学会であることにまずは驚かされました。 今回はホテル 3つを使っての開催で、AERA 会長の挨拶によると 12000人とか言ってましたから、NCME 側や同伴者を加えると 相当な人数が集っていたことになりそうです。 私自身は最終日の最終発表者というありがたくない場所でしたが、 無難に何とか発表を終えることができホッとしました。 また、xxx 先生のお口添えもあり、いろいろな方と知り合えることができ、 それなりに楽しんで帰国しました。 xxx さんとも、学会会場を見渡せるコンドーで 昼食をご一緒させていただきました。 さて、先生からは「学会を概観して紹介せよ」との ご依頼を受けていたこともあって、多少はまじめに(?)参加してきました。 が、違和感を覚える点が幾つかあり、先生はどのように考えられて 今まで参加されていたのだろうと疑問も残りました。 それらについて一応報告し、ご意見をお聞かせいただければと思い、 メールを書かせていただきます。 いくつかの項目がありますので、順に書いていきます。 1) 予稿集の配布がない。発表者が個人的に配布することがある程度。 「学会では予稿集をもらえるもの」と言う発想が間違っているのかも しれませんが、私が今まで参加してきた国内外の学会で予稿集がなかったという 経験はありませんでした(恐らく)。AERA と NCME では予稿集の配布が ないんですね。驚きました。 しかし、一方、発表者から言うと、事前に原稿提出を求められ 期日までに提出しました。(NCME は 3月中、AERA はもう少し早かったらしい)。 何のために提出を求めているのでしょうか? 集めた原稿はどこにプールされているのでしょうか? ごく一部の発表者が各自で持参した予稿を会場で配るという程度です。 所属や名前は勿論、コンタクトアドレスや Web ページまで把握できて、 私にはありがたい配慮でしたので、私も急遽文房具屋に行って コピーを作って配布しました。 けち臭い話になってしまうのかもしれませんが、 業績リストに「口頭発表」を記載する際に、 「予稿集の xx〜yy ページに掲載」と書くことが一般的でしたが、 予稿集がないため「NCME の Chicago 大会で発表しました」としか書けないんですね。 私個人で言えば、英語で発表される研究の場合は、英語が拙いので、 事前に予習をしたいという考えもあり予稿集を駆使するわけですが、 その手は全く使えません。当日現地でスクリーンに提示された資料と口述から 研究内容を知る必要があり、困惑しました。 ちなみに、プログラムで興味深い研究を見つけると、大会期日に関係なく 著者に「予稿を欲しいので送ってくれ」と電子メールや郵便でコンタクトを 取ってくるんですね。幸い私も出発前と帰国後に合計 4通ぐらい連絡があり、 1件に関しては会期中に夕食を共にしながら情報交換をしました。 アクティブな者だけが研究者として生き残っていけると言う精神かもしれませんが、 事前に原稿を提出してあるのだから、印刷するか(予稿集。重い)、 CD に焼いて配るか(経費と体積の節約)、もしくは大会の Web サーバーで 取得できるようなシステムを構築する(経費の節約。手間は増える)かして、 提出した情報を共有するシステムを提供してほしかったなぁと感じています。 2) 発表件数がやたら多い。パラレルセッションが多くて把握できない。 学会登録デスクでもらうプログラムの厚さが既に 2cm 以上あります(AERA)。 大まかなテーマ毎(全体で 8つ程)に分けられているとは言え、 発表件数が非常に多く、しかも 3ホテルでのパラレルセッション(同時に 50会場?) ですから、聴講プランを立てることもままなりません。 発表タイトルをいちいち読んで判断するのは重労働(or 困難な)のように 思われますが、皆さんどうやってそれぞれの会場を選んで おられるのか不思議でした。Web で検索できるサービスもあったようですが、 全員が知っているとも思えませんし。 なお、一方 NCME 側は非常にこぢんまりとした会議ですので、 パラレルセッションも最高で 4つまでで、またテーマも Measurement 周辺だけ ですので、把握は容易でした。その意味で NCME には親しみを感じました。 3) 説明のエレガントさに欠ける。 「西欧人のプレゼンテーションはショーのようですばらしい」という 経験が多かったのですが、残念ながら AERA と NCME に関しては、 首を傾げたくなるものが少なくありませんでした(勿論すばらしいものもある)。 3a) (カラーの) PowerPoint で原稿を作っておきながら、 それの出力を白黒コピー機にかけて OHP を作ってしまっているため、 色調がつぶれて読み難いもの、 3b) 白黒の OHP に色で強調を付けていないため、主張の強弱が判りにくいもの、 3c) 1ページ当りの掲載量が多いのにすぐに次のスライドに移行してしまう (アメリカ人でも読み終えられないスピード)もの、 3d) 文字が小さくて読めない、また、図表が細かすぎて判読(理解)できないもの、 3e) OHP の提示を他人(次の発表者等のその場に居る人)に任せ、 口頭でスライドを先に進めたり前に戻したりする指示を出すものの、 引き渡した際のスライドの整列順が洗練されていないため、 的確な提示が出来ずに説明が取っ散らかってしまうもの。 3f) 共同研究者が順に壇上に上がって説明するが、一つ一つは ボリュームが小さく細切れになってしまい落ち着かないもの、 3g) 極めつけは、発表時間内に結論部分までの説明を終えられなくて しり切れとんぼになってしまうもの。 自分の発表が誉められたものではないのは解っていますが、 それにしても本人の主張が伝わってこない発表が多かったように思いました。 他にも細々とした疑問点はありますが、主だったものは以上のようなものでした。 これらの点はxxx先生だけでなく、アメリカ人にも聞いてみたのですが、 明確な応えは返ってきませんでした。 xxx先生は今まで AERA や NCME に参加されて どのようにこの学会を活用されてきたのでしょうか? 年次大会はあまり重要視せず、学会誌に投稿することを メインとされていたのでしょうか? あの大勢の方々は有用な情報交換ができているのでしょうか? 何を求めて Chicago に集まっていたのでしょうか? なお、疑問点を書き並べましたが、興味の沸く講演もたくさんありました。 い) 「Item Generation」にはいろいろな実現方法があるが、 特に、人工知能の技術を導入して処理するのが今後注目されるかもしれない。 ろ) 前項とも関係するが、CBT 関連の話題や IRT Equating には人が押し掛ける。 は) 理論では Hierarchical Linear Model (HLM) が注目されている。 に) Student Session と言う学生向けセッション (最初、学生が発表するセッションかと思った)があり、 その道に明るい人が入門的講演(導入的講義?)を行なっている (取り上げるのは毎年同じテーマ?)。院生の学習動機付けに有用だと感じた。 と言ったところでした。私の拙い英語力では、細部を理解することは 難しいですが、最近のトレンドを掴む(感じる?)程度のことはナントか 出来たのではないかと思います。 統計の国際大会 ISI は非常に大きいですが、 テーマが細かく別れていますので、自分の興味のあるところは 非常に限られており、講演を探すのはそれほど困難ではありません。 プログラムにはタイムテーブル(時間割り表)が掲載されていて、 全体の流れも解りますし(AERA にはない)。 ただ、まぁ、私が教育関係の研究会に出た経験が少なく、 テーマを絞りきれずに散漫になってしまい、 "発散してしまった"のかもしれませんね。 (以下略)