[Installation Report] Libretto20 + Slackware


天野さんは投稿当時は城西大学に所属しておられましたが、現在は群馬大学工学部に移っておられるそうです。 このページに記事の掲載を許可してくださいました天野さんには感謝します。
[Installation Report] Libretto20 + Slackware

From: kamano@po.iijnet.or.jp (Kazuo AMANO)
Subject: [Installation Report] Libretto20 + Slackware
Message-ID: <4ptif5$bdc@news2.iij.ad.jp>
Organization: Department of Mathematics, Josai University
Newsgroups: fj.os.linux
Date: 15 Jun 1996 05:41:57 GMT

天野@城西大学です

東芝 Libretto20 への FDD からの Linux のインストレーションレポー
トです。Slackware 3.0 の bootdisk と、a1 〜 a5 パッケージをコピー
した5枚のフロッピーさえあれば、Libretto に FDD から Linux をイン
ストール出来ます。

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「東芝 Libretto20 に FDD から Linux をインストールする手順」
                −−天野@城西大学の場合−−

東芝の Libretto20 を手に入れて、よ〜し
        「面倒なので、これからは Windows95 に忠誠を誓おう」
と思いました。でも、1ヶ月ちょっと Windows95 ユーザをやってみて、
        「これは僕の使う OS ではないな」
ということがはっきりと分かりました。そこで、やはり購入前に計画し
ていた通りに、Libretto に Linux をインストールすることにしまし
た。
ところが、いざインストールを試みてみると、これがそう簡単ではない
事が分かりました。というのは、Libretto の FDD は AERO などと同様
の PCMCIA タイプのドライブだからです。仙田さんの pcrbfl22 も試し
てみたのですが、そのとき既に僕は Windows95 をほとんど捨ててしまっ
ていたために、幾つかの DOS のツールが無いというエラーメッセージが
出て、うまく動いてくれませんでした。    (;_;)
しかたがないので、自力で Win95 パーティション上に足掛かりとなる小
さな Linux を入れようかと考え始めたところで、Tiny Linux の存在を
知りました。この Tiny Linux のおかげで、FDD から Libretto に Slack-
ware 3.0 + JE 0.9.7j を、うまくインストールすることが出来ました。
僕が、Libretto に FDD から Linux をインストールした手順を、簡単な
レポートにまとめてみました。これから Libretto で Linux をしようと
している方達の参考になれば光栄です。

● Step_1 (作業の前に用意するもの)
Slackware 3.0 の bootdisk を1枚用意してください。ちなみに、root
disk の方は必要ありません。というのは、僕の実験では、残念ながら
Libretto の FDD には rootdisk が読めないからです。Bootdisk の作
り方は、Slackware 3.0 のマニュアルに詳しく書いてありますので、こ
こでは説明しません。
それから、菊谷さんの Tiny Linux (tlinux.exe) を手に入れて下さい。
僕は、NiftyServe の FUNIX のデータライブラリから手入しました。
● Step_2 (システムのバックアップ)
先ず最初にやるべきことは、システムのバックアップです。フォーマッ
ト済の 2HD のフロッピーディスクを 46枚(!)用意し、
        「初期インストールソフトウェアについて」
という小冊子に書いてある手順に従って、全システムのバックアップを
作成します。
このとき、間違っても、Libretto の FDD でフロッピーディスクをフォ
ーマットしようなどとはしない方がよいと思います。やってみれば分か
りますが、死ぬほど時間がかかります。
● Step_3 (セットアップ起動ディスクを作る)
Step_2 で既に
        「セットアップ起動ディスク」
は1枚できているはずですが、安全のために、Linux をインストールす
るための作業用の起動ディスクをもう1枚作ります。Windows95 を消し
てしまった後で、作業中に誤って「セットアップ起動ディスク」を破損
してしまうと大変なので、僕はこのようにしました。
気が変わって、やっぱり Windows95 がいいなんてことになるかもしれ
ないので・・・
● Step_4 (ハードウェアのセットアップ)
次に、Windows95 を捨てる前に、東芝ユーティリティの
        「HWセットアップユーティリティ」
を使って、ハードウェアのセットアップをして下さい。Libretto のハイ
バーネーション機能はとても便利なのですが、「使わない」と設定する
ことをおすすめします。というのは、「使わない」とすることによって、
Libretto のハイバーネーション領域(約23M)が自由に使えるように
なるからです。ハードディスクの容量の小さい Libretto にとって、こ
の 23M は貴重です。
ただし、[ESC] キーを押しながらリブートすれば、幾つかの設定は後か
らでも変更出来ます。
● Step_5 (Win95 パーティションの切り直し)
いよいよプレインストールの Windows95 を捨てるときが来ました。Step
_3 で作った、「セットアップ起動ディスク」を FDD に挿入して、シス
テムをリブートして下さい。プロンプトが出たら、先ず
        [半/全]キー
を叩いて、適切なキーボードを選択します。次に、
        fdisk
を起動して、現在の Win95 パーティションを削除し、新たに小さな Win
95 パーティションを切り直します。僕は、16M を 新しい Win95 パーテ
ィションに割り当てました。この新しい Win95 パーティションをアクテ
ィブにするのを忘れないようにしてください。
● Step_6 (Windows95 起動システムのインストール)
新しい Win95 パーティションに、起動システムを以下のようにしてイン
ストールします:
        A:\>format c:
            ^^^^^^^^^
        A:\>sys c:
            ^^^^^^
        A:\>copy *.* c:
            ^^^^^^^^^^^
ここで、^^^^^^^ はユーザがキーボードを叩いて入力する部分です。こ
うしておくと、たとえ将来何かの事故で Linux が立ち上がらなくなって
も、Win95 パーティションから小さな Windows95 を起動して、システム
を修復することが可能になります。
以上のようにして、ハードディスク上に Windows95 の起動システムをイ
ンストールできたら、フロッピーディスクを抜いて、
        [Ctrl]+[Alt]+[Del]
で Libretto をリブートします。小さな小さな Windows95 が立ち上がる
はずです。
● Step_7 (Tiny Linux のインストール)
先ず、自分がドライブ C: のルートディレクトリに居ることを確認し
ます。それから、FDD に Tiny Linux
        tlinux.exe
の入ったフロッピーを入れて、
        copy  a:tlinux.exe  c:
と入力し、それをハードディスクにコピーします。そして、
        tlinux
と命令してやれば、ドライブ C: の linux というディレクトリの下に、
Tiny Linux が展開されます。
● Step_8 (Tiny Linux の起動)
僕は、Slackware の bootdisk を使って Tiny Linux を起動しました。
もちろん loadlin を使う手もあります。
先ず bootdisk を FDD に入れて、リブートします。少しすると boot:
というプロンプトが現れるので、
        boot: mount root=/dev/hda1
              ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
と入力します。この後、ダ〜〜とメッセージが表示されて、
        .
        .
        .
        Welcome to Linux 1.2.13
        redstar login:
という login プロンプトが現れるはずです。Tiny Linux が起動されま
した。
● Step_9 (Linux の root, swap パーティションの設定)
Step_8 の最後の状態で、
        redstar login: root
                       ^^^^
とインプットして、スーパーユーザで Tiny Linux にログインします。
そして、Tiny Linux の
        fdisk
コマンドを使って、Win95 パーティション以外に Linux のための root
パーティションと swap パーティションを適当に切ります。この辺の手
順は、Slackware のドキュメントで詳しく説明されているので、ここで
は省略します。参考までに言いますと、僕は
    /dev/hda1     1    1    33    16600    4    DOS 16-bit <32M
    /dev/hda2    34   34   480   225288   83    Linux native
    /dev/hda3   481  481   526    23184   82    Linux swap
としました。それから、忘れずに
        mkfs /dev/hda2
        mkswap /dev/hda3 23184
とやって、各パーティションを目的に合わせて適宜セットアップします。
最後に bootdisk を取りだし、
        [Ctrl]+[Alt]+[Del]
とやって、次の作業のために Windows95 を再起動します。
※「ちょっと心配」Libretto に詳しい人でしたら、上に記載した swap
パーティションと Libretto の Hibernation 領域とが重なってしまって
いることに気付くことでしょう。こんな事をして大丈夫なのかどうか、
ちょっと心配です。(^^;  とりあえず、今のところはトラブル無しで動
いています。ヤバイカナ〜
※「ついでに」この Tiny Linux をずっと使うつもりならば、
        vi /etc/rc.d/rc.S
として、rc.S ファイルの先頭に
        swapon  /dev/hda3
という1行を書き込んで下さい。これで、Tiny Linux が第3パーティシ
ョンを swap エリアとして使うようになります。それから、不当な侵入
を防ぐために、root には必ず password を設定して下さい。
● Step_10 (Slackware 3.0  a1〜a5 パッケージのコピー)
ドライブ C: のルートディレクトリに
        a1, a2, a3, a4, a5
という5つのディレクトリを作り、Windows95 を使ってフロッピー経由
で、それぞれに Slackware 3.0 の a1, a2, a3, a4, a5 パッケージの内
容をコピーしてください。
● Step_11 (Slackware 3.0  a1〜a5 の /dev/hda2 へのインストール)
Step_8 でやったようにして、Tiny Linux を起動し、root でログインし
ます。まず、
        cd /
        mkdir a
        mount /dev/hda2 /a
とやって、第2パーティションをディレクトリ a にマウントします。
残念ながら Tiny Linux には pkgtool が入っていないので、手作業で以
下のようにして a1〜a5 をインストールします。
        cd /a
        tar zxvf /DOS/a1/aaa_base.tgz
        sh ./install/doinst.sh
        tar zxvf /DOS/a1/comms.tgz
        sh ./install/doinst.sh
                .
                .
                .
        tar zxvf /DOS/a5/zoneinfo.tgz
        sh ./install/doinst.sh
ここで、Tiny Linux からは、Win95 領域が /DOS ディレクトリ以下に見
えるようになている事を使います。注意して頂きたいのですが、シェル
スクリプト
        /a/install/doinst.sh
を実行するのは、tar で展開中に
        ...... install/doinst.sh
と表示されたとき、かつそのときに限ることです。シェルスクリプトが
書ける方は、一連の処理を B shell で書いてしまうと楽が出来ます。
● Step_12 (fstab ファイルの作成)
すべてを手作業でやっているので、
        /a/etc/fstab
を自分で作らなければなりません。
        vi /a/etc/fstab
として vi エディタを起動し、適当に fstab ファイルを作ってください。
僕の場合は、
        /dev/hda1       /dos    umsdos  rw 0 2
        /dev/hda2       /       ext2    rw 0 1
        /dev/hda3       swap    swap    defaults
        none            /proc   proc    defaults
としました。
● Step_13 (Linux の起動)
いよいよ本物の Linux を起動します。Bootdisk が FDD に挿入されてい
ることを確認してから、
        shutdown -r now
と入力して、リブートします。しばらくして boot: プロンプトがでたら、
今度は
        boot: mount root=/dev/hda2
              ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
とやって、第2パーティションからブートします。Slackware 3.0 から
インストールした Linux が起動されたはずです。ここで
        darkstar login: root
                        ^^^^
として、root でログインします。そして
        darkstar:~# setup
                    ^^^^^
と命令し、setup ツールを起動して、第2パーティションからブートす
るように
        LILO
を適当にインストールします。この辺りの事は、Slackware 3.0 のドキ
ュメントで詳しく解説されていますので、そちらをご覧下さい。それが
済んだら、試しに bootdisk を FDD から抜いて、
        shutdown -r now
としてみて下さい。ハードディスクから Linux が立ち上がるようになっ
たはずです。
ここで、第1パーティションから Windows95 も起動出来るように、LILO
をセットアップしておく事は、言うまでもありません。
● Step_14 (Slackware 3.0 と JE 0.9.7j のインストール)
あとは、第1パーティション(Win95 パーティション)経由で、Slackware
3.0 の残りと JE 0.9.7j を、第2パーティション(Linux パーティショ
ン)にインストールします。第2パーティションにインストールした Linux
では、setup コマンドが使えるので、これはそれほど大変ではありませ
ん。詳しくは、それぞれのパッケージのドキュメントをお読み下さい。
もしも手元に適当な PCMCIA LAN カードあるいは SCSI カード等があれ
ば、ここから先のインストールはもっと簡単になります。じっさい僕は、
LAN カードをもっていたので、ワークステーションと Libretto をイー
サネットで接続して、Slackware 3.0 の残りの部分と JE 0.9.7j の必要
なところをインストールしました。
X Window System のインストールで、ひょっとしたらつまずく方もいる
かも知れませんが、そんなときには
        NiftyServe ... FUNIX
        ニュースグループ ... fj.os.linux
などで情報を収集してみて下さい。ここら辺りには、博識で親切な方々
が大勢おられます。
● Appendix_1 (ハイバーネーションについて)
ハイバーネーション機能を使う場合には、Win95 パーティションを残す
のを諦めて、swap エリアを /dev/hda3 から /dev/hda1 に変更した方が
良いと思います。
● Appendix_2 (参考文献)
このレポートを書いている最中に
    Waling Linux 推進委員会著「Walking Linux」アスキー出版局
という大変良い本が出版されました。上記の説明が理解できなかった初
心者の方は、先ずこの本を読まれると良いと思います。

● Appendix_3 (Libretto20 のための XF86Config ファイル)
256色しか出ませんが、Libretto 用の XF86Config ファイルです。と
りあえずこれで X Window System が使えます。
#-----------------------
# Libretto20 XF86Config:
#-----------------------
Section "Files"
    RgbPath     "/usr/X11R6/lib/X11/rgb"
    FontPath    "/usr/X11R6/lib/X11/fonts/misc/"
    FontPath    "/usr/X11R6/lib/X11/fonts/75dpi/"
EndSection

Section "Keyboard"
    Protocol    "Standard"
    AutoRepeat  500 2
EndSection

Section "Pointer"
    Protocol    "PS/2"
    Device      "/dev/psaux"
    Emulate3Buttons
EndSection

Section "Monitor"
    Identifier  "Libretto20-LCD"
    VendorName  "Toshiba"
    ModelName   "Libretto20-TFT"
    HorizSync   30-64
    VertRefresh 50-100
    ModeLine "640x480" 25.175 640 664 760 800 480 491 493 525
EndSection

Section "Device"
    Identifier  "Libretto20"
#    Chipset    "clgd7548"      # genuine chipset of Libretto20
    Chipset     "clgd6225"      # something approximately equal to clgd7548
    VendorName  "Cirrus Logic"
#    BoardName  "clgd7548"      # genuine boardname of Libretto20
    BoardName   "clgd6225"      # something similar to clgd7548
    VideoRam    1024
    Clocks      25.175
EndSection

Section "Screen"
    Driver      "svga"
    Device      "Libretto20"
    Monitor     "Libretto20-LCD"
    Subsection "Display"
        Depth       8
        Modes       "640x480"
        ViewPort    0 0
#        Virtual     800 600
        Virtual     640 480
    EndSubsection
EndSection

僕自身 Linux を使い始めて1年足らずの初心者です。とんでもない間違いや
思い違いをしている可能性が十分にあります。そんな場合は、ご遠慮無く叩い
てやって下さい。よろしくお願い致します。

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                Kazuo AMANO
                Department of Mathematics, Josai University
                1-1 Keyakidai, Sakado, Saitama
                350-02 JAPAN
                Phone  : 0492-71-7697
                Fax    : 0492-71-7985
                E-Mail : kamano@po.iijnet.or.jp
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本ページへの掲載日 : 1996年11月

Atsuhiro Hayashi (hayashi@rd.dnc.ac.jp)
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