231128 論理的記述力科研集会 @Zoom

  1. 国語問題研究協議会 : 文化庁

  2. 令和5年度 国語問題研究協議会 : 令和5年8月23日 オンライン開催
    「日本語をどう書くか」
      情報機器の普及で、誰もが発信者になれる時代、日本語の書かれ方にも変化が見られます。
      現代社会において「日本語をどう書くか」について改めて考えてみませんか。

  3. 講演概要と若干のコメント
    【私見:全体を通して】

    1. 国語問題研究協議会と文化審議会国語分科会における審議事項 by 武田 康宏
      • 旧仮名遣い、ローマ字: 発音に準拠する表記方法に推移している
      • ローマ字には 訓令式(tukusi)、ヘボン式(tsukushi)、日本式(di, du, dya)がある。
      • 小学校におけるローマ字教育は、昭和22年からは選択制で実施。昭和33年からは必修。
      • その背景には、ローマ字を「読める、書ける、母音と子音の関係の理解」から、 「PC入力、外国語の普及等への対応」がある。

      • 【私見】 時代の変化や要請と共に、表現形式も変化していくものなのだ。 それを文化審議会国語分科会で検討くださっているのかな。

    2. ローマ字に関する意識調査の結果について by 文化庁国語課
      • 調査趣旨:ローマ字に関する意識について調査し、調査結果を国語施策の参考に供する。
      • ローマ字つづりとローマ字入力に関する意識調査 @福島県、佐賀県
      • 小学校第5学年 258名、中学校第3学年・高等学校第2学年 927名、
        小学校教員 70名、中学校・高等学校等教員 147名
      • どこで学んだか、何時学んだか、何ができるようになったか、...

      • 【私見】 調査趣旨には、調査結果を「国語施策の参考に供する」とあるが、 今ひとつ「どういう結果だったのか」、「どこが参考になりそうなのか」が理解できなかった。 そもそも論となるが「参考に供する」という言い回しは弱い感じがする。 「資する」とか「供する」ではダメなのか。

    3. 横書き・縦書き / かな・漢字 by 成川 祐一
      • 新聞社の新入社員も書けない。
      • 使い分けについて: 漢字、カタカナ、ひらがな
      • ネットと書籍による違い
      • 縦書きと横書きの違い: リズムの取り方にまでにも影響する
      • 常用漢字表、現代仮名遣い、送り仮名の付け方
      • 会社として統一した表現が好ましいので「記者ハンドブック 新聞用字用語集」を編纂
        • 「目安」、「よりどころ」として運用している
      • 読みにくくなる組み合わせは避けよう
        • 規範だと言っても、厳密に適用すべきものではない
        「動植物名はカタカナ」が原則ではあるのだが、
        1. 伝統漁法のウ飼いはウを使ってアユをとる。<=== ルールを厳密に適用したら
        2. 伝統漁法のう飼いはウを使ってアユをとる。
        3. 伝統漁法の鵜飼いはウを使ってアユをとる。<=== 運用上の表記
        4. 伝統漁法の鵜飼いは鵜を使って鮎をとる。
        

      • 【私見】 規則はあるものの、リズムや読み易さ等も考慮して、臨機応変に表記するものなんだ。曖昧さが認められている。寛容さがある一方で、厄介な部分でもあるのだろう。

    4. 小学校国語科における日本語表記の学習について --ローマ字表記の学習の目的・内容を中心に-- by 長岡 由記
      • ローマ字: 小学3年生
      • 訓令式、ヘボン式
      • PCへのローマ字入力
      • ローマ字教育の目的
        • 過去: 読み書きできるように
        • 現在: 国語の音韻についての自覚、国語の構造ならびに機能上の特質についての理解を深めること ===> 母音と子音の組み合わせを理解

      • 【私見】 現状報告であった。時代と共に変遷。PCへの対応などは「言葉」を取り扱うことから組み込まれた領域と言えるのだろう。

    5. 日本語をどう書くか by 森山 卓郎
      • 「日本語学」の視点から
      • 「考えをまとめ文章を構成する能力」には課題がある
        • そもそも「書くこと」は難しいのだ。
        • 多くの人が苦手意識を持っている。

      • 書くことの困難性
        1. 線条性
          • 言葉とは基本的に「線」として整理される情報。
          • 言語化: ふわっとわかっていること、全体に見えていること、あれこれ考えることを、「言葉としての明確な1本の線」になおす。
        2. 文字言語化
          • 「線」にしていくための流れ
          • 「書く」ためのてだて: 日本語学の立場から
            • 語彙: ことば(語)えらび ===> 後述に参考情報あり
            • 文法: 表現のくみたて & 「文型」への意識
            • 文字・表記の調整
            • 文章構成・論理・効果: 全体としてのなりたち
        3. 相手に伝わる
          • 伝わるかどうかは結果論。
          • 「書く」ことの目的は多様。
            • 自分が「書く」だけでいい場合もある。
          • 相手がいる場合には「相手」へ効果的に「伝わる」必要。
          • 文章のジャンルの違いにも対応。

      • 言葉選びに困ったら 国立国語研究所「現代日本語書き言葉均衡コーパス」(BCCWJ, Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)が参考になる。
        • 「事故が起こる」「事故が起きる」 どっちが良い?
        • より多く使われている? どういう文書に多い? どういう使われ方?
        • 検索条件画面, 検索結果画面
        • オンライン版(無償): 少納言(登録不要)、中納言(登録不要)
        • オフライン版(有償): BCCWJ(有償版)

      • 論理をどう組み立てるか <=== 多様、いろいろな方法と考慮点がある
        • 具体例と一般化
        • 疑問と答え
        • 主張と理由
        • 提示順も
        • ・・・・

      • まとめ
        • 書くことはむずかしい。
          • そこで、「言葉」にたちどまりながら。
          • 一つ一つのステップを身につけていく
          • 相手への「想像力」
            • 経験を積むことも大切 → 相手意識を持ってコンパクトに書くことも有益。
        • 絶対的正解ではなく「少しでもよりよく」「少しでも言葉の交通事故を減らせるように」!

      • 参考文献

      • 【私見】 「書くことの困難性」が3つの事項にまとめられていること、および「線条性」という考え方は新鮮であった。
        • 言葉・言語とは「1次元データ」として捉えるものなんだ。
      • 相手を想定し、伝わるかを考えながら作文するしかないようである。
      • 本人がどこまで考えを巡らし、作り込んで文を作成したかが成果に繋がる。それには経験も相当に寄与している。
      • 「言葉の交通事故」という考え方。
      • 絶対的な正解がないということの「ありがたみ」と同時に、多様、雑多、混沌にも繋がっているような。
      • [疑問] 作者の熟考を読み解けない読者(評価者)が採点を行った場合、評価がバラつくのではないか。大学入試での公平性をどう保障するのか。評価者の質保障は?
        • AO入試(現在の総合型選抜)では許容される・認められるであろう。

  4. 参加しての感想: 結局、論理的に文章を書くには


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